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【プレスリリース】卵子の活性化を抑える手法を開発

概要


ゲノム

 清水大学理工学部化学・特任研究チームは、卵子の活性化を抑える手法を開発しました。
  通常、卵子は受精後に活性化、即ち、細胞分裂などが活発になる状態となりますが、卵子の中には受精前に活性化することがあり、その場合はその後受精しても正常に成長しにくいことがこれまで報告されていました。研究グループは、タンパク質を分解する酵素の働きを阻害する物質MG132が活性化を抑えることを発見し、受精前での卵子の活性化を抑えることを可能にしました。
  また、受精前に活性化した卵子は染色体が細胞質に分散するという異常がみられ、受精しても正常に成長できない原因の1つであることも明らかとしました。これらの発見は、ヒトを含めた哺乳類の新たな体外受精技術の開発および不妊症の解明、さらには絶滅危惧種の人工繁殖への応用が期待されます。




研究成果


 受精前に活性化した卵子と活性化を抑制した卵子について、染色体配列を観察したところ、受精前に活性化した卵子においては染色体が細胞質内に分散するという異常が発生することが確認され、活性化を抑制した卵子においては染色体が細胞質内で分散しないことが確認されました。MG132 により活性化を抑制することが、染色体の分散も抑制するということがわかりました。
 これまでフリーズドライ精子などを用い たラットの顕微授精による成功率は低かったですが、卵子の活性化抑制により、成功率を 大幅に向上させることが期待できます。また、受精前に卵子が活性化してしまう現象は、 ラットのみならず他の哺乳類でも確認されています。そのため、本研究成果は、ヒトを含 めた哺乳類の新たな体外受精技術の開発および不妊症の解明、さらには絶滅危惧種の人工 繁殖への応用へとつながる可能性があります。




写真2

MG132 により活性化を抑制することが、染色体の分散も抑制するとい うことがわかりました。