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【作物学】亜熱帯原産のイネを初冬に蒔く新技術開発

概要


SDGS

 農学部・植物生命科学科の共同研究チームは、エチオピアに導入されている在来イネ18品種について、穂ばらみ期耐冷性を評価し、基準品種の策定を行いました。
 本成果は、エチオピアにおけるイネ育種の基盤情報として今後の新品種の育成につながることが期待されます。アフリカの農業現場の最前線で「寒さに負けない」持続可能な食料生産に本学は貢献しています。




研究成果


 本研究では、本学と福島県農業研究センターが保有する精密な恒温深水法による検定装置を用い、エチオピアの在来18品種の耐冷性を日本の基準品種(耐冷性が極強の「ひとめぼれ」と弱い「ササニシキ」)と比較評価しました。
 その結果、エチオピア在来品種の耐冷性に大きな変異があり、最も強い「Andassa」と「Tana」は「ひとめぼれ」と同程度の耐冷性を持つこと、最も弱い「Fogera2」と「Getachew」は「ササニシキ」と同程度の弱い耐冷性を持つことを明らかにしました。
 また、特別な設備や機器を用いず、通常の野外条件で栽培したイネの開花直前の葯の長さと、低温処理したイネの稔実歩合との間に有意な相関関係を見出し、葯長の遺伝的要素が耐冷性の簡易的な指標となることを明らかにしました。
 このことは、より多くの遺伝資源を対象に葯長を指標としたプレスクリーニングを行うことで、特別な設備がなくても有望な遺伝資源を抽出できる可能性を示しています。これら知見は今後のエチオピアでのイネ生産の安定化に寄与する成果に位置付けられます。




写真2写真3

エチオピア訪問時の農家との懇談の様子